未開の美しさは、そう簡単には馴染まない。
今日から7月が始まりましたね。
というわけで。
文月悠光さんの詩集【屋根よりも深々と】を読んだ。読んだのだけど。
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つくづく詩集って不思議な存在だと思う。小説のような、漫画のような、写真集のような、日記のような。様々な方の詩集を読む度、毎度、形容し難い感動を覚える。そして、だいたい眠くなる。でもその“眠くなる”は、学校の授業中に感じたソレとは違う。もっと心地よい子守唄のようなものだ。
文月悠光さんは、僕と同い年。
なのに、すごいなぁ、コレは。
読む以上に、綴られた言葉をただ見ているだけで美しいと思った。その人がちゃんとその人であることが全てのページから発せられていて、これは美しいなと思った。
ひとつひとつの言葉を丁寧に紙から剥がして、ひとつひとつの言葉を口に含みたくなった。どんな味がするのだろう。それは多分、未開の味だ。
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わかりやすいもの、は。
僕にとっては、どこか物足りなくて。
かといって、支離滅裂な虚構を求めているわけでもなくて。
要は、嘘のないものが好きで。
嘘をついていることを臆面もなく表現してしまう、ような。
そういう 矛盾めいた、人間がつくるものが好きだ。
それらはそれらとして、凛として存在しているから。
触れると少し冷たくて、でも安心できる。
そう簡単に僕には馴染まない温度や色が、とても美しいと思えて。
だからこそ、少しでもその世界に近づきたいと思う。
未開の美しさは、そう簡単に僕には馴染まない。
これまでも、これからも。
他者と関わる機会があれば、そういう理解できない気持ちになりたい。
そうして離れるでもなく、一体になるでもなく。
ただ其々がマーブル状に濃淡を彩り合うような、そんな出会いが最高だ。