遠浅の死海。

文字の海に溺れて死にたい。幸福の国。

未開の美しさは、そう簡単には馴染まない。

今日から7月が始まりましたね。

というわけで。

 

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文月悠光さんの詩集【屋根よりも深々と】を読んだ。読んだのだけど。

 

◯◯◯

つくづく詩集って不思議な存在だと思う。小説のような、漫画のような、写真集のような、日記のような。様々な方の詩集を読む度、毎度、形容し難い感動を覚える。そして、だいたい眠くなる。でもその“眠くなる”は、学校の授業中に感じたソレとは違う。もっと心地よい子守唄のようなものだ。

文月悠光さんは、僕と同い年。

なのに、すごいなぁ、コレは。

読む以上に、綴られた言葉をただ見ているだけで美しいと思った。その人がちゃんとその人であることが全てのページから発せられていて、これは美しいなと思った。

ひとつひとつの言葉を丁寧に紙から剥がして、ひとつひとつの言葉を口に含みたくなった。どんな味がするのだろう。それは多分、未開の味だ。

 

◯◯◯

 

わかりやすいもの、は。

僕にとっては、どこか物足りなくて。

かといって、支離滅裂な虚構を求めているわけでもなくて。

要は、嘘のないものが好きで。

嘘をついていることを臆面もなく表現してしまう、ような。

そういう 矛盾めいた、人間がつくるものが好きだ。

 

それらはそれらとして、凛として存在しているから。

触れると少し冷たくて、でも安心できる。

そう簡単に僕には馴染まない温度や色が、とても美しいと思えて。

だからこそ、少しでもその世界に近づきたいと思う。

 

未開の美しさは、そう簡単に僕には馴染まない。

 

これまでも、これからも。

他者と関わる機会があれば、そういう理解できない気持ちになりたい。

そうして離れるでもなく、一体になるでもなく。

ただ其々がマーブル状に濃淡を彩り合うような、そんな出会いが最高だ。